2005年6月10日から9月20日までの104日間、僕はフェザークラフトのファルトボートとキャンプ道具、潜り道具、釣り道具を持って西表島から北海道知床半島までの旅にでた。 
 僕には昔からある野望があり、それはカヤックで日本や世界各地の沿岸を漕ぎ、各地の沿岸漁業や食文化を見て回り、漁の手伝いをし、食べてみるという旅をやってみたいと思っていたのだ。 今回はその最初の第一段階である。
 だったら日本一周してしまえばいいじゃないかと思うが、あいにくそこまで資金調達をする時間もなく、年間ぶっ通して行うほどの時間の余裕もなかった。
 
 なにより、それだとどうしてもカヤックを漕ぐということが目的になってしまい、世間一般で言う冒険やEXPEDITONというものになってしまう。僕はこの旅をそういうくくりに入れるつもりはなかった。
 正直日本一周は出来るだろう。みんなやっているし。ワンシーズン、年内に終わらせようと思うと運も必要だとは思うけど、フェザークラフトの性能を持ってすればファルト、スキンでも十分日本一周はできる。
 だけどフェザーのいい所は折りたたんで自由に持ち運ぶことが出来ることにあるわけで、それで地続きの長距離を漕いでもあまり意味はないと思うのだ。それこそリジットでやればいい。
 僕が持っているカヤックがファルトボートだからという事もあるが、そのファルトの特性を活かした旅がしてみたかったのである。 その為僕は公共交通機関で移動をし、自分の漕ぎたい場所だけを漕いで行くというスタイルを採ることにした。
 
 もちろんこれは冒険ではない。ただの遊び、旅行である。
 川では自由にファルトボートを持ち歩いて漕ぎまわっている人が多いのに比べて海は少ない気がする。もちろん海の知識や状況判断が出来なければ漁師や海上保安庁のお世話になってしまうことになるけど、僕は「そんな事ないっすよ、海でも正しいやり方を覚えればアホみたいに面白いですよ」という事を示唆したかったこともある。
 
 旅に出る前に僕は今回の旅に9個の目的を持っていた。ここではその結果も報告していきたいと思う。さしあたりその目的は以下のものがあった。
 

  • ①ファルトボートの携帯性はどこまで実用的かを探る。
    ②南北に長い日本の海の生態系を潜水により観察。水中カメラによる記録
    ③魚類相の確認(捕食による→ただの魚獲り)
    ④地域住民の親水性調査(漁師以外の潜水漁の有無の確認)
    ⑤市場調査(ただ単にその地方の魚市場視察。地元民は何の魚を好んで食べているのか?)
    ⑥奄美・加計呂麻シーカヤックマラソン参戦
    ⑦ノーザンアドベンチャーカヤックス知床半島一周ツアー参加
    ⑧小豆島での労働
    ⑨ガーラ各種(ロウニン、オニヒラ、カスミ、ギンガメ)突獲 

 
とりあえず⑨は無理でした。一種類もガーラ獲ってません・・・

A ファルトの携帯性の実証

 

船で運ぶ

今回使った移動手段で、主な長距離移動は船舶(フェリー)を利用した。西表島から石垣島まで、石垣島から沖縄本島まで、沖縄本島からケラマ諸島間(座間味島)、沖縄本島本部から奄美大島名瀬、名瀬から古仁屋、名瀬から鹿児島、鹿児島から屋久島間、佐伯(九州)から宿毛(四国)、高松から小豆島土庄、七類港から西ノ島浦郷間までの10つでフェリーを使ったわけだが、各航路にも複数の会社があり、その会社の船舶によって使用感も異なってくるだろう。ここでは私自身が使用した船舶で説明したいと思う。一方、カヤックを持っていなかったが、ある程度予測でそのフェリーがカヤックを持っていた時の使い心地はどうかは想像することもできるだろう。今回はそのような船舶の情報も記述したいと思う。

■西表島→石垣島

安栄観光と離島桟橋石垣島から各離島へは「八重山観光フェリー」「安栄観光」の2社が主に離島桟橋から高速船、貨物船を出している。僕はある理由で安栄観光を主に使用しているが、両会社とも使用している船の外観はほぼ変わらない。この会社でライダーか車で離島に行く以外の人なら高速船が一般的な利用船舶だが、他の会社の高速船に比べ、荷物制限等はとてもゆるい。自転車もそのまま乗せる事ができる。もちろんカヤックも然り。ファルトもたたんだ状態なら後部座席のベンチや、前方の船積み荷物と一緒に置いてもらえれば誰も文句は言わないだろう。ただし前方に置かせてもらうとかなり潮をかぶるので防水処理をしっかりしておく事を薦める。

■石垣島→沖縄本島那覇

琉球海運わかなつおきなわここの航路は有村産業(クルーズフェリー飛龍)琉球海運(わかなつおきなわ)の2社がある。僕は有村産業を薦めるが、今回の旅では日程の関係上琉球海運を使用することになった。2社とも船を乗る所は変わらない。石垣港からの乗船となるが、長くて高いタラップを上り、その上フェリーに乗るとさらにエスカレーターが待っている。このため、荷物がカヤックだけなら一回で行けるが、キャンプ道具を満載したバックサックも持っている場合、2回に分けて上り下りしなければならない。船内では中央ホールで荷物が置かせてもらえるので、わざわざ船室に持っていく必要もない。貴重品だけ取り出せるようにし、船が各港に着いたときだけ荷物を注意すればいい。こんなでかい荷物を盗む奴など、すぐわかるだろう。那覇新港に到着すると思われるが、この港が広くて、ターミナルまでの移動はバスが出ている。しかし荷物満載のお客を乗せ、さらに自分も想像以上に荷物を持っているのでこのバスに乗るのは現実的ではない。そのため僕は歩いてターミナルに向かった。これは那覇新港のターミナルからフェリーに向かう時にも言えることだ。

 ■沖縄本島泊港⇔阿嘉島⇔座間味島

ケラマ諸島に行くには沖縄本島泊港から出発する事になる。高速船とフェリーがあり、さたに座間味村、、渡嘉敷村で運営している為目的の島によって便が異なるので注意。
渡嘉敷島に行くにはマリンライナーとかしきフェリーけらま。座間味島、阿嘉島に行くにはクィーンざまみフェリーざまみである。僕は座間味に行ったのでフェリーざまみに乗った。

高速船、フェリー関わらず、ファルトボートを積む事はできるので問題はない。

■沖縄本島本部→奄美大島名瀬

マリックスラインの
クィーンコーラル
本部港はフェリーが接岸する波止場がターミナルの裏なので問題なく移動できる。ただしここでも高いタラップを上らなければならないので2回に分けて上る必要がある。船内は他のフェリー同様である。
この区間はマルエーフェリー【A LINE 旧大島運輸】(あかつき・なみのうえ)マリックスライン(クイーンコーラル・クイーンコーラル2)が行っている。今回僕はマリックスラインのクイーンコーラルに乗船した。
また関係ないが沖縄から内地に直接行くのならば、有村産業や琉球海運でも行く事ができる。
名瀬港への下船では、ターミナルの乗船口が2階にあるため、タラップが延びて直接つながるので下る必要なくターミナルに入れる。ターミナル内にはエレベーターがあるのでそれを利用すれば女の人でも移動可能だ。

■名瀬→古仁屋

名瀬港からの乗船は下船同様、2階からとなるので容易である。古仁屋港は・・・・どうだったっけ??とりあえず運べないことはない事は確かです。この区間はマルエーフェリーの中にある奄美海運フェリーきかいと、フェリーあまみを運航している

■名瀬→鹿児島

この間はSTカンパニーのバスに乗って出入りした為、カヤックは車に乗せていた。そのため一般の人たちの下船方法はわからない。大島運輸とマリックスラインがやっていることには変わりないが、他に大島運輸のありあけ琉球エキスプレスも乗船できる

■鹿児島⇔屋久島間

フェリー屋久島2と宮之浦港鹿児島から屋久島へはフェリーで鹿児島本港南埠頭から宮之浦港への乗船となる。
折田汽船のフェリー屋久島2へは高いタラップを上っていかなければならないので億劫に感じるが、ここの船員は荷物を上げるのを手伝ってくれる!そのためかなり楽チンに船内に入り、出ることができます。荷物は中央の螺旋階段の下にまとめておけば大丈夫です。下りる時も同様、船員が手伝ってくれるので一回で下りる事ができます。これ以外のことでも比較的他のフェリー会社よりサービスが充実していていいフェリーだと思いました。屋久島には他に「トッピ-」と親しまれる高速船が鹿児島本港北埠頭から運行されており、宮之浦港と安房港に接岸する。これにカヤックが乗るかはわからないが、多分大丈夫だと思う。

■佐伯から宿毛

ニューあしずり株式会社宿毛フェリーからニューあしずりが出ている。
このフェリーは乗船口、下船口ともに車輌と同じなのでフェリーの車輌駐車場から階段で船室に昇っていきます。そのため、どうしても心配な人はカヤックを船室まで持って昇ればいいですが、僕は駐車場のスミ(下船口の近く)に置かせてもらいました。

■高松から小豆島

第二しょうどしま丸四国フェリーが高速船、フェリー(第二しょうどしま丸)ともに運行している。
このフェリーはなかなか面倒臭くて、高松から乗船する時は一般の乗船客同様にタラップを上って入っていくのですが、土庄で下りるときは車輌と同じ出口から降ります。そのためカヤックをいったん持って上り、再び下ろさなければならず、面倒臭いです。逆に土庄から乗って高松から降りる時は乗船は車輌と同じ。そして降りる時はタラップからも下りられますが車輌と同じ場所からも下りられます(ちょっと危険ですが)。だから高松に向かう時は駐車場にカヤックを置かせてもらったほうが後で楽です。 

■七類⇔西ノ島浦郷

隠岐諸島には境港からと、七類港、加賀港から隠岐汽船が船を出している。今回は島前の西ノ島、浦郷に行きたかったので七類港からフェリーくにがに乗船し、同じくくにがで七類港に戻ってきた七類港フェリーターミナル七類港のターミナルは二階が入口になるので楽にフェリーに乗ることができます。ターミナルはエスカレーターもあるしエレベーターもあるのでカヤックを持っていても楽々移動できます。ただしタラップが長い。船内は釣り客などが多いので荷物は一ヶ所にまとめられますが、特に問題はないでしょう。下船は高いタラップを降りなければならないので大変ですがここも船員が手伝ってくれるので荷物の上げ下げは助かります。この船も総合的に設備がしっかりしたいいフェリーでした。僕は洗面所でデジカメのバッテリーを充電していたら怒られてしまいましたが、それは漏電して危ないからという事で、他のコンセントではいくらでも充電していいから他の場所でやってくれとの趣旨でした。シャワーは一回3分200円とちょっと高めでしたが自動販売機の発泡酒150円はフェリーとしては破格です!帰りも同様、高いタラップは船員が手伝ってくれ、七類では2階からなので何の問題もありませんでした。

番外編
■東舞鶴→小樽

舞鶴港フェリーターミナル新日本海フェリーの舞鶴→小樽間のフェリーです。カヤックは運ばなかったですが、この旅で使用した船の中では一番大型で、一番施設がしっかりしていたフェリーです。ターミナルまでの移動、中での階の移動などは億劫ですが、船の中は広くて快適です。荷物も混んでいなければ個室に持ち込むこともできます。むしろ大型の荷物を一ヶ所に置くところはないので苦労する事もありえます。
◎各船舶会社ホームページ一覧

安栄観光(石垣~西表間)

http://www.aneikankou.co.jp/

八重山観光フェリー(石垣~西表間)

http://www.yaeyama.co.jp/

琉球海運(石垣~沖縄間)

http://www.rkkline.co.jp/

有村産業(石垣~沖縄間)

http://www5b.biglobe.ne.jp/~hiryu21/

渡嘉敷村役場(泊港~慶良間間)

http://www.vill.tokashiki.okinawa.jp/ship_inf/set.htm

座間味村役場(泊港~慶良間間)

http://www.vill.zamami.okinawa.jp/

マルエーフェリー(旧大島運輸)(沖縄~奄美~鹿児島間)

http://www.minc.ne.jp/aline/

マリックスライン 

http://www.marix-line.co.jp/

折田汽船(鹿児島~屋久島間)

http://www.f2.dion.ne.jp/~orita.k/

宿毛フェリー(佐伯~宿毛間)

http://www.sukumoferry.com/index.htm

四国フェリー(高松~小豆島間)

http://www.shikokuferry.com/

隠岐汽船(七類~隠岐諸島間)

http://www1.ocn.ne.jp/~okikisen/line2.htm

新日本海フェリー(舞鶴~小樽間)

http://www.snf.co.jp/index2.html

※2005年時点。現在(2020年)は異なる場合があるのでご注意ください

電車で運ぶ

陸上での移動の手段は今回、ほとんど青春18切符を用いてJR(電車)を使用した。具体的には鹿児島~宮崎間、宮崎~延岡~佐伯間(日豊本線)、高知~高松(土讃線)、高松~岡山(瀬戸大橋線)、岡山~米子(伯備線)、米子~境港(境線)、岡山~京都(山陽本線)、京都~福知山(山陰本線)、福知山~東舞鶴(舞鶴線)、小樽~札幌~旭川(函館本線)、旭川~知床斜里(石北本線)、旭川~富良野(富良野線)、富良野~釧路(根室本線)、釧路~知床斜里(釧網本線)を利用したことになり、このうち北海道と岡山~東舞鶴間を除けば、すべてファルトボートを持って乗車した。それぞれの路線、そしてその路線沿いの駅の情報を参考までに記述し、ファルトを持っていた区間はその感想を、持っていなかった区間は予想で話を進める。

■九州

 鹿児島~宮崎間、宮崎~延岡~佐伯間(日豊本線)
この路線は非常に本数が少ない。ワンマンの2車輌である。朝夕は通勤客が多いので昼間に乗る事を進める。鹿児島からは国分までは混むがあとはガラガラ。他のワンマン電車にも共通する事だが、先頭車両で料金を支払うのでファルトを持っている場合は終点で降りるときは後部(終点はたいがい後部からも降りられる)、途中で降りるのであれば先頭車両の料金を払う場所の手前に車椅子のお客さん専用区間があるので、そこに壁沿いに置くのがあまり他の乗り降りする客に迷惑をかけないと思う。

■四国

高知~高松(土讃線)
地元の利用者ははっきり言ってほとんどなし!僕が乗ったときはちょうど同じような青春18切符利用者が多数乗っていたが、あとはおばあさんなどが時々乗り降りするのみである。区間によっては一両だけのワンマン電車である。乗り換えが多く、阿波池田、琴平などで一度降りて、ホームを移動しなければならないが、どこも階段しかないので乗り換えの時間が少ない時は地獄を見る(高松駅は段差がないので大丈夫)。かならず荷物はまとめてすぐに移動できるようにしておくに限る。腰を痛めないように注意。

■中国

高松~岡山(瀬戸大橋線)、岡山~米子(伯備線)、米子~境港(境線)
瀬戸大橋線は快速マリンライナーが走っている。これは本数も多く、速い。ただし荷物は置く場所が少ないので、各車輌の端を狙って乗り込むべき。岡山駅はでかい駅のクセにエスカレーターなどの設備がないために苦労する。バリアフリー設備をもっと作ってくれ・・・!伯備線はたいが備中高梁、新見で乗り換えることになる。その度に重い荷物を持って階段を乗り降りしなければならないのでいったん荷物を置いておいて、どこのホームから次の電車が出るか調べた方がいい。だが、本数は少ないので迅速に行動しないと思わぬロスタイムをくらう事になりかねないので注意。カヤックをホームに置いておいても盗まれる気配は・・・ない。境線は特に問題ない。この路線の区間はマリンライナー以外はどこも空いているので荷物を置くのに苦労はないと思われる。

■関西

岡山~京都(山陽本線)、京都~福知山(山陰本線)、福知山~東舞鶴(舞鶴線)
この区間はファルトボートを持って移動していない。だが、率直な感想としては「持っていなくて良かった~」といった感じ。京都駅はとにかく広く、人も多いがバリアフリーの設備がしっかりしているのでエスカレーター、エレベーターなどはあるのでうまく利用すればかなり楽。ただし人が多いので車輌内は時間に関係なく混む。そのためうまく通勤、通学時間を外していい場所を確保しないときつそうだ。車輌自体もこれまでの「旅人向けの車輌」ではなく、「通勤用の車輌」なのでまとまった荷物を置くスペースが少ない。

■北海道

小樽~札幌~旭川(函館本線)、旭川~知床斜里(石北本線)、旭川~富良野(富良野線)、富良野~釧路(根室本線)、釧路~知床斜里(釧網本線)
北海道はさらに電車の本数が少ない。3時間に一本鈍行があればいい。特急を使って旅をするならともかく、青春18切符の旅は時刻表が必要不可欠なアイテムである。本数が少ないためか地元の高校生などによってやたらと混む。ここでも時間帯を考えた方がいいだろう。その他札幌周辺(札幌~岩見沢区間など)、富良野線、釧網本線は意外に混むのでファルトを持っていると迷惑こうむるかもしれない。基本的にここもワンマン車輌が基本である。

番外編
■関東

総武・横須賀線、京急電鉄・伊豆急行
ここで、ついでなので関東で主にカヤックを運ぶことが多いこの3つの路線間でのことも記述しておく。葉山などに行くときに使われるであろう総武横須賀線ですが、各車輌の先頭、後部には車椅子のお客さん用の場所が用意されているので、そこに荷物を置けばほとんど問題はない。ただし平日の終電近くや通勤時間帯は恐ろしく混むので要注意。西大井と東京、津田沼以外は開くドアが決まっているので、それがわかれば扉の前に荷物が置けるので楽である。京急も同じことが言えるが、京急の場合、品川から乗った場合、京急蒲田と横浜で大方客が入れ替わる。この隙にポジションを確保すれば問題ないだろう。品川から三崎口に行く快特の場合、一番後ろの座席と車輌の間に新幹線と同じように隙間が出来るのでそこに荷物を置くと便利である。また、引き倒すタイプのイスの場合はイスをしまい、そこに荷物を置いてしまえばいいので荷物を置く場所には困らない。伊豆急はファルトというか、大きな荷物を運び込むには意外に不便な車輌の形をしている。旅行目的の人が多いのにこれは何とかして欲しい。

※2005年時点。現在(2020年)は異なる場合があるのでご注意ください

バスで運ぶ

フェザークラフトのツアー報告や人の旅行記を読むと、意外に多く使われている交通機関がバスでの移動である。海でしまったカヤックをバスに乗って街まで行き、そこで送ったりそのまま持って移動したりするので利用する事が多いのだろうが、現実的に多くのお客が利用しているバスなどではとてもじゃないがあのバカデカイファルトボートを乗せる気にはなれない(それ以前に入口から入れるのも苦労する)。あくまで空いているバスに乗る事がわかっている場合のみを想定して考えた方がいいと思う。

僕の場合、
1:始発から終点までいくバスを利用する場合、
1:本当に田舎のローカルなガラガラなバスを利用する場合、
1:それしか移動方法が無い場合
・・・と言うことになる。
それ以外は不甲斐ないがタクシーのお世話になってしまう。
今回バスを使ったのは境港から七類港、七類港から境港まで行ったとき、隠岐諸島内でバス移動させてもらった。こういう場合、2人がけのイス、もしくは最後部座席に陣取り、一人分占拠して荷物を置いてしまったほうが結果的に他のお客に迷惑がかからないと僕は思っている。通路に置かれるのが一番困るだろうからだ。
バスの場合、乗り降りにえらく時間を使ってしまうのでつり銭を作らないよう、バス料金を事前に調べておくのが得策。また、途中下車する場合は出口の近くに荷物を置いておいたほうがスムーズに下りる事が出来る。なるべく運転手と会話をし、場の雰囲気を作っておくと多少面倒が起きても応じてくれる。場合によっては荷物の超過料金を請求する運転手もいるので要注意。

※2005年時点。現在(2020年)は異なる場合があるのでご注意ください

人力で運ぶ:徒歩移動

今回は市販のフェザークラフト社製のパックカートを用いて引っ張って移動させていた。そしてフェリーのタラップや階段を上ったり、下りたりする時は背中に背負ったりして運んだ。だが、急いで他のホームに移ったりしなければならない時などはイチイチ2往復して荷物を運ぶのも癪なので、ボンボン引きづりながら階段を運ばなくてはならない事も多々あった。キャンプ道具を背負い、銛や釣竿、三味線を持って潜り道具も入っているカヤックを引っ張るのはだいたい距離にして3㎞が限界である。前腕部分がつってくるのだ。それ以上は気力と根性、物理的な体力でカバーするしかなく、お気楽な旅というには肉体的にきつすぎる。正直あまり人力で運ぶものでもないような気がする・・・。また、今回は初めてバックカートを用いてカヤックを牽引して歩いてみました。隠岐諸島の西ノ島で内海と外海を通る運河がローカルルールで使用できないので、この方法で移動したのですが、思いのほか腕に負荷がかかって長距離を歩くのはたいへんだと気付きました。

後部に重石を乗せてバランスをとることも考えましたが、そうするとカヤックがしなって引きずってしまうんですね。だからカヤックを持つ手でバランスを取らないといけない。カヤック自体で凄い重いです。

これはバックカートではなく、専用のカート、フェザーで言えばバタフライカートなどを用いれば幾分楽に移動できそうですが、少なくともバックカートではキツイですね。荷物が入っていたらまずやめといた方がいいと思います・・・。

とにかく携帯性重視なのでタイヤが小さい!これが牽引する時はトラベルパックを運ぶ時以上に気に障ります。道の側溝に落ちたり。

 総論  ファルトボートを持ち歩いて旅行してみて・・・。


ファルトボートの究極的な使い方は、旅に携帯し、漕ぎたい所で漕ぎたい時に漕ぐ・・・というのが僕の考え方だった。フラフラと好きな場所に行き、気に入った場所を見つけたら漕いで見る。もしくは橋を渡るような意味合いで自分のカヤックで移動する。そうやって移動の手段や遊びの一環としてカヤックを漕いでいく旅をやってみたかった。乗り物としてではなく、道具として考えるとファルトボートはとても旅の中で使う面白い道具だと思ったからだ。青春時代にゴムボートをキスリングに入れて旅した野田知佑さんのように。で、実際にそれを決行してみたのだが、正直言って結果から言わせてもらうと

ちょっと日本国内では現実的ではない

という結論である。

理由①:重くてかさばる

全長4.5mのカヤックが100リッターほどのバックパックと同じ大きさになるのだから、初めて見た人などは「え-ッ?こんなに小さくなるの??」と言われもするが、客観的に見ればやはり旅行に携帯するにはでかすぎる。カヤックだけで旅をするならそうでもない。フェザークラフトのカヤックを入れるバック「Travel-Style Backpack」ならカヤック以外にも簡単なキャンプ道具くらいは入るだろう(実際他のオーナー達は入れている)。だが、僕のように長期で旅に出たり、潜り道具や釣り道具、楽器まで持ち歩くとなると、一人の人間が公共機関を利用して動き回るにはあまりにも不自然な荷物量となる。リアカーを用いたり、車を用いてしまってはもちろんファルトボートである意味はない。リジットカヤックでいいのだ。あくまで人間一人が持ち歩く事が出来る量で、公共の交通機関を自由に使ってこそ意味があるのである。僕の身長は172㎝、体重63㎏という、極めて日本人の平均的な数値を出している男である。これが身長180㎝以上、筋肉で80~90㎏の体重があるような体力を持ち合わせていれば大量の荷物も自在にヒョイヒョイ持ち運びできるかもしれないが、普通に考えればかなりキツイ。正直僕は今回の荷物が限界ギリギリである。これ以上は無理だ。何回か足が攣ったり、前腕が攣って、常識的に考えれば持ち歩く荷物の量ではない。乗り物に乗るにしても、通常よりも時間がかかり、何回かに分けて運び込まなければならない。迅速に移動しなければならない時に、とても困る。火事場のクソ力がしょっちゅう必要だ。また、無事に乗り込んでもあまりの荷物の量に他のお客さんに迷惑をこうむる場合もでてくる。このような事を考えるとファルトボート(この場合、フェザークラフトのカフナ)を気ままに持ち運んで長期旅行をするには常人異常の化物でないと(精神的にも体力的にも)難しく、余裕を持って行動しなければならない。
 

理由②:宅急便が発達している

電車に乗り、車輌からの眺めを見ていたら、とても気持ちよさそうな場所を見つけたので途中下車し、カヤックを組み立てて漕ぎ出す・・・。このような使い方をするならカヤックは常に持っていなければならない。しかし、たいていの場合、目的地が決まっておりその場所で遊んでまた別の目的地に移動するというのがほとんどのスタイルだと思う。そういう場合、お金に余裕があるのなら宅急便で荷物を送ってしまえばいい話になってくる。ファルトボートは他のカヤックと違い、宅急便を利用して全国に送る事ができるという利点も持ち合わせている。日本はそういう意味では北は宗谷岬、南は波照間島まで自由に、ほぼ確実に荷物を送る事が出来る国だ。友人知人が目的地にいなくても各地の停留場に預けておく事も出来る。そういうシステム、サービスがある中で、無理にカヤックを引っ張り歩いて旅行するというのはスマートではない。僕は今回の実験や、金がないという理由で持ち運んでいたが、頭がいい人ならこんな事はやらなくてもいいと思う。
 

理由③:現地でリジット艇を借りれてしまう

日本国内でシーカヤックのレンタルをしている場所はほとんど無い。皆無に等しいだろう。だが、自分の旅の計画を地元のカヤックショップやアウトフィッターに相談すれば、交渉しだいでは舟を貸してくれて、サポートしてくれる場所もある。そういうショップがある以上、無理に自分の舟で漕ぎたいという事を考えなければ、今の日本ならたいがいの所でカヤックを浮かべられる。それならばファルトボートを持ち歩いて旅行する必要もないといっちゃ-ないのである。現に僕が今回漕いだフィールドで、カヤック関係のショップがなかった場所はない。どこかしら現地のプロが存在した。誰も漕いだ事が無いようなフィールドや、地元にそのような人がいない場所ならともかく、やはりここでも日本国内では心配する必要はなさそうだ。
 
このような理由があげられるが、なんと言っても一番大きな理由は①である。これに尽きる。
僕はリジットも普通に乗るが、ファルトボート、というかスキンカヤックが結構好きな人間だと思う。そして執着心、愛着精神が強いので自分の所有物で何かするのが好きだ。だから自分の所有している舟であるカフナで色々な場所を漕いでみたいと思うし、それが楽しい。
だが、そんな僕でも今回の旅はあまりにも体力任せで陸上での移動には気を使いすぎた。金がないのに、どこかに行くにしても「超過料金をとられるんじゃないか?」とビクビクしながら移動したり、あまりの荷物の多さに我ながら呆れる事も多々あった。
そんな中で②や③などの理由もあり、特別な場合を除けばファルトボートを持ち歩いての旅は非常に面倒な事が多いだけのものだと思う・・・という結論に達したのである。
 
ただし、可能か不可能かといわれれば、もちろんそれは「可能」である。実際やったし。
今回僕はカフナを用いたが、新しく出たウィスパーやエアラインシリーズならできるかもしれない。
さらに超人的な体力と、他人を気遣う繊細さ、時には大胆に行動し、遊び心を無くさない精神を持ち合わせていれば十分できなくも無い。
あと暇な時間と少々の金か。
とりあえず僕はもう少し体力をつけないと・・・。
これからファルトボートを持ち歩いて日本国内を旅する人がいるとすれば、参考になってくれると幸いです。
 
追記今回の旅の感想や、遠征にフェザーを使う人、使わない人の話を聞いて、僕の中でも「カヤックを持ち運ぶということ」に関して感じた事があります。リジット艇はどの程度持ち運べるのか?遠征にリジットではなくK-1を用いる理由、カフナにするか、K-1にするか、国外の場合、国内の場合・・・等。これらに関する事は後日別に書こうと思っています。

B 各地の海の様子・魚類相

写真:マアジ(香川県小豆島吉田周辺)

■方法

 南は西表島から沖縄本島、ケラマ諸島、奄美大島、屋久島、高知沿岸、隠岐諸島、小豆島、知床半島の計8箇所(沖縄とケラマは本当のサンプルがないため一ヶ所にまとめた)で潜水を行い、そこで見られた魚や水生生物をもとに南北に長い日本の海の生物相の広がりを体感、報告する。
 また、水中ハウジングを使ってデジタルカメラによる水中写真を撮り、記録も残した。 あくまで記録が目的なため、ダイビング雑誌に載るような綺麗な写真は無いのでその辺はご了承ください。

西表島(八重山諸島)

 西表島は沖縄県八重山諸島の一つで、黒潮の影響を日本で最初に受ける場所でもある。そのため、島の気候は亜熱帯に属するが海の中はほぼ熱帯域と変わらないという。
 サンゴ礁が発達し、島の海岸線は島の西部の断崖部をのぞけばほぼリーフに囲まれている。そのため、典型的なサンゴ礁の環境が整えられ、外洋、リーフエッジ、礁湖、アマモ場、マングローブ林などが用意されている。
 今回僕が潜ったのは島の北部のサンゴ礁だけだが、河川が流入する海やマングローブ林に潜る事ができれば面白かったと思う。
 八重山は沖縄本島や奄美にくらべ比較的大型のシャコガイが多い気がする。特にヒレジャコガイが多い。
 
 

ヒメジャコ                         ハナゴイの一種
 

テングハギ                        オニヒラアジ
 

沖縄本島(ケラマ諸島)


 今回僕が潜ったのは沖縄本島では北部の名護のみ。あとはケラマ諸島の座間味島、古座間味ビーチのみなのでサンプルとしてはあまりにもショボ過ぎる。
 慶良間では以前にも何度か潜ったが、八重山の島の様な発達したリーフができておらず、海岸線からなだらかに落ちて行くようにサンゴが生育し、深くなっていく。テーブルサンゴが少なく、枝サンゴや塊サンゴが多い印象を受けている。
 とにかくハマフエフキがやたらといて、サンゴにはクマノミの仲間が多い。イソギンチャクの種類、個体が多いためだろうか?ハリセンボンも小型だが異常にいて、目の前がハリセンボンだらけになる事もあった。
 それに比べ、シャコガイは八重山に比べて少なく、海岸を歩いていてもあまり殻を見かけない。

 名護はかなり沖まで行かないとリーフが切れず、遠浅の海が続いた。さらに海が時化ていたために濁り、コンディションが悪かった。ただ全体的に水が富栄養化しているのか普通のリーフ内でも八重山の河口域のような生物相で、アミメフエフキやゴマアイゴなどを見かけた。魚が恐ろしくスレている。
 沖縄本島は南部や北部、特に東海岸側と西海岸側の違いなど、場所によってもかなり環境が違うのでひとまとめにして一概には語れない。サンプル不足である。
 

トガリエビス                        クマノミ
 

スジアラ ボラの一種  座間味島              古座間味ビーチ

奄美大島


 主に瀬戸内で潜った。
 沖縄に比べるとリーフが発達しているのは湾内だけで、外洋や潮が速い場所では岩肌が露出している場所もあり、内地の海に近い印象を受けた。だが生物相は依然として変わらず熱帯魚が多い。
 リーフが発達していないせいか、とにかく深い!全体的に魚がいそうなポイントは深く、潮が速い。沖縄のようなお気楽な気分で潜っていると痛い目に会いそうだ。水温も若干低い気がする(事実のちに潜った屋久島の方が水温が高かったと思う)。
 貝が多い。高瀬貝、サザエなどをよく見た。シャコガイも種苗放流されているのか、一箇所の根に無数に生息している事が多く、漁師が潜ったあとに覗くとボコボコに獲られているところを見ると、その可能性が高い。もちろん手をつけることはない。
 サンゴもソフトコーラルやウミシダの類が多い気がした。特にウミシダはやたらといる。
 クマノミはハマクマノミとハナビラクマノミが多かった。
 またサンゴの隙間によくオニヒトデを見た。一見サンゴ礁だと思われる場所も、ポリプが抜けた骨格だけの場所などもよく見かけ、そのためか沖縄に比べブダイ類が少ないようにも思えた。カンモンハタは多かった。関係性は不明だがオニヒトデは見つけると気分が悪い。
 リーフ内や港内にはハリセンボンがここでも異常に多い。
 島の漁師が潜水漁を行うことが多いようで魚はややスレているように思えた。それにパットした魚は近場では見かけていない。そのわりには港にはいい魚が揚がっており、釣具屋に行くと大型魚が湾内に入ってきているという情報もあって、もう少し探りを入れても面白そうな場所だと思う。とくに外洋に面した海が注目である。
 

ハリセンボン                        アオバスズメダイ
 

スリ浜周辺ハマクマノミ:                   嘉鉄周辺

屋久島


 陸上の生物相はこの島を境に亜熱帯と温帯と変わるようだが、海の中も若干変わりつつある。
グレートシーマンプロジェクトを行った八幡氏によると、トカラ列島のある島を境に変わるようだが、確かに屋久島はそれまでの沖縄系の魚とは違って伊豆諸島などでも見かける魚が多くなってきた。それまでパラパラとしか見なかったニザダイが見られるようになり、ヒメジの仲間もホウライヒメジが現れ、タカノハダイ、クロメジナ、、ヒラスズキなどの温帯域の魚も見えてきた。よくわかったのはコショウダイの仲間で、それまでチョウチョウコショウダイやアヤコショウダイが多かったのに対してここでは見られず、ヒレグロコショウダイがたまに、アジアコショウダイやコロダイがよく見られるようになった。
 それに対しテングハギ、ヒブダイ、サザナミヤッコ、ロウニンアジ、イソマグロなどの熱帯系の魚も交じっている。
 屋久島の面白いところは、島の北と南でだいぶ陸上も海中も様子が違う事だ。
 北部の宮之浦や一湊に比べると、南の湯泊や栗生は熱帯域の様相をえていて、同じサンゴでも一湊がソフトコーラル中心なのに対し、栗生はテーブルサンゴが発達し、魚も熱帯魚が多い。興味がある人は実際に潜って見ると面白いほどその違いがわかると思う。だがあいにく栗生と湯泊の水中写真は無い。
 これは屋久島の南に黒潮が流れているからで、南から東シナ海を流れてきた黒潮はこの島の南で太平洋側に入り、宮崎沖、高知沖を通り、蛇行しながら伊豆諸島に向かう。そのためかこの島の海上ではウミガメをよく見た。
 そういえばイセエビもゴシキエビやニシキエビからカノコイセエビになっていたな・・・。
 

ニザダイ  チョウチョウウオ:安房            ヒラスズキ:宮之浦
 

ハタンポ:一湊                      ヒレナガカンパチ:一湊
 

ゴマフエダイ オキフエダイ ナミフエダイ:原       イシガキダイ:一湊

高知県(太平洋)


 高知編本文にも書いたが、高知県の南西にある柏島、沖ノ島は日本で最も魚類相が厚い海域だと言われている。そのため魚類相はムチャクチャな様相だ。
 まだまだ黒潮の影響を強く受けており、テングハギ、ヒブダイなどはよく見る。だがその一方ブダイの種類が減ってきて屋久島ほど派手なブダイを見なくなる。かわってイガミと九州で呼ばれる標準和名ブダイと、同じく沖縄のアオブダイ(イロブダイとかハゲブダイの類)とは違う標準和名のアオブダイがよく現れるようになった。アイゴもヒメアイゴやハナアイゴが姿を消し、普通のアイゴ(シモフリかもしれないが)が見られるようになった。
 また、屋久島まではイシガキダイがほとんどだったのに対し、ここではイシダイとイシガキダイが半々くらいで見るようになった。他にタコもワモンダコではなくマダコも交じるようになり、ロックフィッシュはカンモンハタではなくカサゴになった。
 

タイワンカマス:足摺岬某所               ホウライヒメジ ニセカンランハギ:足摺岬某所

隠岐諸島(日本海)


 隠岐は日本海といっても対馬や壱岐と同じく、対馬海流の影響をまだまだ強く受けるので純粋な日本海の海とは言えそうではない。
 事実、昔潜った佐渡島などに比べると日本海独特の「少数種による生物的地位の独占」が少ないと思われる。
 だが高知から瀬戸内海を通り、ある意味日本を縦断した形で来て見ると、その海の変わりようは面白かった。
 まず熱帯域の魚は皆無になる。チョウチョウウオはいなくなってカゴカキダイに代わり、デバスズメダイは普通のスズメダイにとって代わる。スズメダイは玄界灘で「アブッテカモ」と言われて大量に獲られ、食べられるだけあって大量に生息している。
 サンゴ類はソフトコーラルも含みなくなり、岩礁帯の浅場にはスガモが生い茂り、カジメ類やホンダワラなどの海藻類が繁茂するようになった。ただし海藻類によく付くメバルなどは少なく、ウマズラハギやカワハギ、マダイの稚魚などをよく見た。同じ日本海でもメバルやキジハタが多い佐渡島とは微妙に生物相が違っている。
 暖流の影響があるのでイシダイやカンパチなども生息している。ただしカンパチは太平洋側に多いヒレナガカンパチではなく、ホンカンと言われる普通のカンパチのようだ。見てはいないがクエも生息しているようだ。
 小魚もそれまで多かったキビナゴやメアジではなく、マアジやトウゴロイワシになった。
 

スズメダイ:国賀海岸                  カゴカキダイ:国賀海岸
 

メジナ:国賀海岸                    マアジ:西ノ島 耳浦
 

イシダイ:国賀海岸                   バイ:西ノ島 耳浦
 また、日本海といえば2005年度はエチゼンクラゲが異常発生したことが話題になった。僕が隠岐を訪れた8月もエチゼンクラゲが大量に発生しており、既にかなりの数が波浪で粉々になったり、笠と胴体がちぎれて漂う物などもあったが、のちに秋頃のエチゼンクラゲを写真で見たが大きさが巨大化していた。
 あと、僕が島を離れた後、となりの島後(僕が行ったのは島前)に行った人によるとここではエチゼンクラゲが少なかったようだ(8月当時)。海流の関係なのだろうか?

小豆島(瀬戸内海)


 太平洋や日本海のように波はなく、閉鎖水域に近くて干潟や浅場が多い穏やかな海だが、場所によっては恐ろしく潮流が速いという特殊な環境でもある瀬戸内海。しかし昔から漁労文化が発達しているだけにその魚影は濃かった。
 正直、あまりの透明度のなさに「ここでは潜れないかもな~」と思っていたが、小豆島の北東から東側にかけては比較的透明度があり潜る事ができた。プランクトンが多いせいか岩礁帯にはビッシリとカメノテや巨大イガイが密生し、海中には小魚が乱舞している。浅場や干潟にはアマモ場があり、魚の生息環境は整っているようだ。
 東京湾に近い三浦半島と似たような印象を受けた。とにかくキュウセンとメバルがムチャクチャいる。これで釣りやったらベラが入れ食いだろと思うくらいやたらといる。岩の中にはカサゴがおり、深場に潜って行くとクロダイやウマズラハギをよく見かけ、噂通りの魚類相だ。これでスズキを見たらもう悔いはなかっただろう。
 だが意外なことにメジナの幼魚やカンパチの子供、トビエイなど黒潮系の魚も見かけ、話によるとシイラもいるらしい。瀬戸内と言っても場所によってはかなり黒潮の影響を受けるようで一筋縄にはいかないようだ。愛媛や山口、広島などにも潜って見たい。
 ただ気になったのは、ほとんどの岩礁にはシロガヤが着生している。かなり浅い場所の岩肌にも着いており、サンダルで立ちこんで釣りをしても刺してくるし、潜って手をつけようとしたらシロガヤだらけで手を刺し、痛痒くなったりした。子供を泳がせるにはちょっと厳しい海だ。シャツを着て軍手をして肌の露出を抑えないとまずい。
 

ウマズラハギ:吉田周辺                 クロダイ:田井海岸
 

カンパチ:吉田周辺                   カサゴ:吉田周辺

北海道:知床半島


 知床半島先端部で潜ってみた。いきなり東北などを通り越してオホーツク海である。
 カヤックツアーに持っていく荷物の削減のためにフィンは持っていかず、「濱口スタイル」で潜ったのであまり深くは潜れなかった。水温も15~18℃くらいでなかなかシビアだった。
 噂通りとにかくウニだらけだ。それも美味しいエゾバフンウニ。潜水漁を行えばいくらでも採ることができるだろう。地元の漁師が船の上から竿だけを使い、限られた期間だけで取る理由がわかる。資源管理なんて簡単だ。採りずらい漁法で採り、漁獲圧が種の増殖を妨げない程度にとどめておくか、採らなければいいのだ。まァそれが難しいのだろうけど。
 岩の中にはガヤと呼ばれるエゾメバルがいっぱいいた。これもアホみたいに釣れる。他にはカジカの仲間とナマコがいただけで極めて生物反応は低かった。深場にイソギンチャクのような生物がいて、アミみたいなものが海草や海藻の間を泳いでいたくらいだ。
 潜水場所とは違うが河川が流入するあたりにはカラフトマスが大量に接岸し河口から遡上しようとしていた。河口近くには定置網が張られ、既にマスが溢れそうになっている網もあった。
 フィンがあればもっと深場まで行くことができ、海底にいるカレイやカニなどの写真も撮れたかもしれないのが残念だ。
 

エゾメバル:知床半島                  カジカの一種:知床半島
 

エゾバフンウニ:知床半島                カラフトマス:知床半島

考察(というか感想)

■南北に長い日本列島を3ヶ月で潜ってみて

 とりあえず、一番上からスクロールを一気に下に持ってきてみるといいです。
 写っている魚の感じが、上から下に行くにつれて見事に変わっていくのがわかって面白い。
 今回の潜水調査は素潜りという水深わずか~15m(この写真の場合、どれも~10m以内の水深だが)の世界である。そしてあまりにもゲリラ的にそこの海を潜って写真を撮った。魚突きをしていた時にカメラを持っていたら、もっといい写真も撮れたかもしれない。だがそんなわずかなサンプル量でも結果はこうして一覧にしてみると一目瞭然でとても面白い物になった。
 ひとつの場所の生物相を全て把握するというのはとてもじゃないが無理である。ダイバーが同じ場所に何回も潜っても飽きないくらい、日本の海というのは生物が多く、また季節ごとによっても見られる生物は異なってくる。今回のこの潜水だけではあまりにも粗が多い結果だというのは百も承知だ。。
 だが夏の間3ヶ月だけで日本を縦断した事で少なくとも夏の生物相を観察する事ができ、ここに一つまとめる事ができた。
 それを踏まえて考えると、同じ日本でも西表島と知床半島では同じ夏なのにこれほどまでも生物相に違いがあるのである。
 この事実、メチャクチャ面白いと思いませんか??
 同じ海なのにこれほどまでもバラエティーにとんだ魚が住んでいるんですよ、日本は!
 そう思うとますます海を周るのが楽しみになってきませんかね?カヤックを漕いでいる海面下の世界ではこれほどまでにたくさんの種類の魚が住んでいて、いろいろな生態をして、様々な環境に適応している。そう思うと海岸線だけ見て「いい景色だな~」と思うのもいいですが、その下の世界をのぞくのも、メチャクチャ面白いと思うんですけどね~。
 実際僕は今回各地で潜って見て、その魚の移り変わりが面白くて仕方ありませんでした。
 食料として獲物を獲るという目的もありましたが、水中カメラを持って、水中の景色を見てまわるも、ある意味海を旅するシーカヤックの特権だと思うんですが…。
 そんな訳で、シーカヤッカーの皆さんもたまには海の中をのぞく事もオススメします!
 僕もさらに色んな場所で潜り、その海中の景色の違い、魚類相、生物相の違いを観察しつつ、楽しんでいく予定です。

何が言いたいのかよくわからない感じになっちゃいましたが、とりあえずこれにて終了。

C 市場調査

旅先で現地の魚屋を覗くのが好きな僕は、今回その結果をまとめる事にした。

1:方法

 本来はその土地の漁港や卸売市場に行ってみたかったのだが、陸上での足がないことや、セリの時間がよくわからない、もしくはその市場自体どこにあるのかもよくわからないという情報不足なため、普通の魚屋やスーパーの鮮魚売り場を観察する事にした。
 方法はいたって簡単。現地で目ぼしい魚を発見したらデジカメでその場で撮るというだけである。
ライバル会社のスパイだとも思われそうだが、そんな事は関係ない。多少の恥かしさはあったが北海道に着く頃には慣れている自分がいた・・・。
 スーパーの場合、地の魚コーナーしか見ていない。
 これだけでもなかなか面白かった。

写真:北海道釧路の市場。好みの具をどんぶりに乗せていく「勝手丼」が有名
 

2:結果

西表島・石垣島:サンプルなし。ただし以前に調査した時の資料があるのでそれを使う。

   西表島は漁協がない。石垣島にある登野城漁港を介して石垣港にある八重山漁協に出荷するか、県漁連に出荷し那覇に空輸される。そのため地の魚が島のスーパーにあることは少ない。石垣島経由でやってくるか、地元漁師から分けてもらうことになる。
 石垣島のスーパーには普通に地の魚(八重山漁協経由)は売っている。
 サンプルはないが、ここを見る限り一部の高級魚を除けば市民はアイゴの仲間、フエフキダイの仲間、ハタの仲間、ブダイの仲間などを食べている。また、八重山漁協にはパヤオがあるためか、石垣島に限ってはマグロ(ビンナガ)やシイラ、サワラなどもよく刺身、アラが売られている。
 石垣島のスーパーの広告を見ると「タマン(ベトナム産)」、「イラブチャ-(フィリピン産)」「クブシミ(タイ産)」など、海外からもわざわざ輸入している事がわかる。内地に沖縄の魚を輸出しても意味がないといわれている一方で、安い輸入品なら歓迎というウチナンチュの消費者がいることがわかり、ウミンチュの苦悩がうかがえる。 こちらの人はあまり時の魚は買わず、買うのはサンマやサバ、サケなどが多い。これは地の魚をあまり食べないと言う事もありそうだが、それ以上に買わなくても「自分で釣って獲っている」という理由のほうが強そうで、特に離島に限ってはその可能性のほうが高い。 また、沖縄全体に言えることだが、沖縄では魚屋は魚を丸のまま売るよりも、さくになったり、すでに刺身になった状態でパックに入れて売っている事が多い。そのため、「魚屋」ではなく「刺身屋」と呼ぶ事が多く、街の魚屋も「○×鮮魚店」というのは中卸が多くて、一般の人達が買うのは「△■さしみ・てんぷら」などという所が多い。
 ちなみに沖縄の天ぷらは刺身を重曹入りのアメリカンドックみたいな衣で揚げた物で、ソースをつけて食べる。揚げたてはビールに最高!である。ファーストフード感覚で刺身屋に行くとやっているので是非見かけたら訪ねてみてください。

沖縄本島:サンプルなし

 牧志の公設市場で撮影を試みたが、あまりのオバァやオジィの接客の圧力に撮影しきれなかった・・・!
 ただ公設市場は観光客目当ての部分が多いので、通常より高級魚を並べている事が多い。アカナー(ハマダイ)、アカジン(スジアラ)、マクブ(シロクラベラ)、ノコギリガザミ、ゴシキエビ、ヤコウガイなどなど。
 普通のスーパーは見たが石垣島と変わらない様子だった。
 沖縄本島に限ってはサンプル不足で何も言えないのが現状です・・・。

奄美大島:古仁屋 

   ここはなかなか凄かった。沖縄本島などに比べてバラエティーが豊富である。
 何が驚いたかと言うと、普通のスーパーなのにスジアラやシロクラベラ、またはマニアックな処ではサラサハタなどの高級魚が普通に売られているのだ。また、アカハタが「メバル」という表記で売られ、キントキが「アカメ」という名で売られていた。
 その他にもアオダイやワラジエビなども売られており、キビナゴやメアジ、グルクマなどの青物も売られている、なかなか面白い感じだった。
 沖縄のような熱帯系の魚が売られていると同時に、メアジなども交じり、地の魚をよく食べている事が伺える。

アカミズ(スジアラ)、マクブ(シロクラベラ)などの高級魚も普通に売っていた。

 

沖縄ではアカミーバイというアカハタも奄美では「メバル」扱いである。キントキの「アカメ」ってのもすごい

 

屋久島

 屋久島は本文でも書いたとおり、トビウオとサバが有名である。そのため魚屋にはトビウオが並び、サバもサバ節となって売っている。
 だがその一方で、地の魚として面白いものもある。例えばメジナ。「クロダイ」という表記で売っているのだ。もちろんどこから見てもチヌではない!グレだ!結構ひんぱんに売っているのを見た。
 またここに来てついに来たかと思ったのがスズメダイの仲間、オヤビッチャが売っていたことだ。これが結構いい値段で売っているのである。ちなみに「ヘキ」と呼ぶらしい。
 他にも茹でたサメの肉やコブシメなど、南国を思わせる物も売っていた。
 冬に訪れた時、種類は減ったが、ハガツオやカンパチ(屋久島では天然物は「アカバラ」、養殖物は「カンパチ」という表記で売っている)なども売っており、黒潮の影響を受けた漁獲があることがうかがえた。

わかりずらいかも知れませんが「黒鯛」って書いてます。九州では「クロ」って呼ぶみたいですがチヌはいないんでしょうか?にしても夏でもメジナ食べるんだなー

唐揚に最適!と、書いてあるのは熱帯魚候補の「ヘキ」ことオヤビッチャですね。沖縄でも北九州でもスズメダイは食べるようですが、屋久島も然りのようです

高知 宮崎は魚屋による機会がなかったので不明。

高知ではなかなか面白いものを見かけた。
 まず普通のスーパーにマンボウが売っているのである。もちろん丸ごととは行かないが、水っぽい肉塊がパック詰にされて売っている。地元の人に聞くと結構見かけるようだ。
 商店街の干物屋によると、ネンブツダイの干物が売っているではないか!その物を食べるのではなく、素麺の出汁などにするらしいがこれには驚いた。瀬戸内海などではヒイラギの干物をよく見るがネンブツダイは初めてだったのでインパクトあったな~。
 その乾物屋にいっしょにあったのがシイラの開きである。40㎝位の小型のシイラが見事にアジの開きのようになって売っていたのだ。これも驚いたが、のちに千葉に帰って来たある日、親父がほとんど同じ物を安房小湊で買ってきた。千葉にもあるのかよ!
 食べてみると意外に淡白な白身が美味しい。日本酒というよりは焼酎が合う味である。

釣人の天敵、餌トリ野郎のネンブツダイも素麺のダシにすると上等らしい。しかしどうやって漁獲するのだろうか?専門で狙うの?

見事に開かれて最初は何の魚かわからなかった。
後日、千葉の安房小湊でも売っている事がわかり、意外に干物にすると美味い魚だとも知った。

隠岐:隠岐の魚屋には行かなかったので境港のスーパー 

隠岐はとにかくイカが有名である。スルメイカ、ケンサキイカ、ヤリイカなど何でも獲れるが、面白いのはソデイカだ。沖縄近海でもよく獲られているようだが隠岐でも獲っているようで、こいつのスルメもよく見かけた。最初はギャグじゃないかと思ったが、結構色んな場所で見たので商品としての需要は疑問・・・。イカには特に縁はなかった。食べていない。
 境港のスーパーに寄った。普通のスーパーだったが、型のいい天然マダイやメダイ、イナダなどが売っていて魚種は豊富だった。
 中でも山陰だけあってシイラやサワラなどが多めに売っていたのが興味深い。サワラは関東では珍しい刺身が売っていた。安かったので買って食べて見たが、西京漬しか知らない人は食べてみるべきだ。柔らかくて脂が乗っていてすごい美味い。他にバトウと言う魚の刺身も売っていて、白身の淡白な癖のない味で、さっぱり魚種が見当つかなかったが、後で調べたらマトウダイのことらしい。さすが漁業の町だけあってスーパーも魚種豊富だ。

さすが「筏付け漁」があるだけにシイラも普通に切身で売っている。地元のおばあさんなどはどのようにして食べているのだろうか?ムニエルじゃないよなー

関東では馴染みのない本サワラの刺身。身が柔らかいのでより鮮度が求められる魚だけにサワラが水揚される地元でないと食べられないらしい

小豆島:高松のスーパーも見た

 瀬戸内海の中にある小豆島。地の魚はまさに典型的な内海の魚だった。
 ただ、これが関東の釣りをする人間からすると驚くべき物がある。僕も驚いた。なにしろウミタナゴとかキュウセンとかが普通に売っているのである!それも結構いい値段で。メバルとか、カサゴとかも売っていてこれらは納得できるが、まさかタナゴとベラが売っているとは・・・。
キュウセンは関西では人気があるとは聞いていたが、スーパーであの緑色の魚が売っているのを見ると妙な違和感がある。ウミタナゴなどは買ってどうするの・・・?と聞きたいくらいだが、美味しい食べ方があるのだろうか??
 ほかには他の地域よりもタコがよく売っている。それも生きた活ダコ。生きたままパック詰めになって売っている所を見ると、よほど回転がいいのだろう。関東ではあまり見ない売り方だ。
 高松のスーパーを見るとさすがに魚種が増えた。
 瀬戸内と言えばママカリ…という訳で、これも関東ならありえないサッパが売っている。他にコノシロやゲタと呼ばれるシタビラメが普通に大量に売っているのが面白い。その他にもワタリガニやイイダコ、シバエビのような小エビなど、内海の魚介類が多くて面白かった。

これを最初に見た時は「瀬戸内海は食べる魚がいないのだろうか?」と思ってしまった(瀬戸内の皆様、申しわけない)。キュウセンは確かに美味いけどタナゴはな・・旬なの?

そしてこんな物も見つけてしまった…!沖縄に来た気分だ。しかしアイゴ自体は美味い魚だから好まれてもおかしくない。でもこのスーパーの奴をさばいたらハラワタ臭そーだな~

左からカレイ、サッパ、シタビラメ。瀬戸内っぽい魚が並んでいる。サッパは南蛮漬けにすると美味い。東京湾にもいっぱいいるけど関東では売ってないな、まず。

番外ですが、カイワリ、マナガツオ、マグロの頭に交じってバカデカイサッパみたいな物いませんか?これはいったいなんだ??まさかイセゴイ…??それともサッパってこんなに大きくなるのだろうか?(2020年訂正→ヒラという魚です)

北海道:羅臼

 知床に行った時、主に魚屋をのぞいたのは羅臼でである。
 丁度サンマに時期が終わろうとしていてこれからアキアジが始まろうとしている時だった。北海道は他の場所と違い、魚の漁期がはっきりしているために、冷凍物のカニなどを除けば季節感がある。ちなみにカニはケガニが旬だったようで、一杯5000円近くした。買えんよ。
 サンマは根室産で一匹100円が相場。脂が乗っていて鮮度もいいからマジで美味い。貧乏旅行者にはたいへんありがたい魚だ。
 カラフトマスはほとんどが加工場のほうに回されるので生で売っている所はなかった。アキアジ(シロザケ)はちょうど定置に入りだした頃で、結構売っているのを見かけた。北海道とはいえ、普通のスーパーではしっかりアラスカ産のベニザケが並んでいるのが皮肉っぽかった。
 他にもメンメと呼ばれる高級魚キンキやホッケ、天然のホヤ、ボタンエビ、その高級版のブドウエビ、野付が有名なホッカイシマエビ、養殖もしているホタテガイなど、北の味覚が盛りだくさんで見ていて飽きなかった・・・。

スケトウダラ、マダラ、メンメ(キンキ)、ホッケ、カスベ、アコウダイ、カレイにアマエビ、ホッキガイ。これに加えてホタテやサンマ、ホヤ、カニ、ウニもあるのだから、やはり北の海には美味い物が多いな~

 

左がボタンエビ、右がブドウエビ。ボタンエビは一匹300円くらいだった気がする

アオソイと呼ばれる魚

写真ではわかりずらいですが、幻のサケ、「ケイジ」です。用はマセガキです。よ~く見るとわかりますが、これが一匹87600円!!誰が買うんだよ!!

3:考察・結論

 今回、事のついでに各地の魚屋やスーパーを見て回ったわけだが、たったこれだけ回っただけでもかなりの情報量があり、興味深い物も多かった。
 日本各地で流通網が発達し、今や山奥のスキー場にあるホテルでもマグロの刺身が食べられるほどの時代である。美味しい魚だけが画一的に出回り、その地方に残っていた独特の食文化や食の対象物はスーパーで簡単に手に入る食材にとって変わろうとしている。
 それを今回、顕著に表していたのが沖縄のスーパーで、鮮魚売り場にはほとんど内地とかわらない魚が売っていて手に入る。石垣島という南国にいながら、三陸沖で獲れたサンマが空輸され、刺身で食べる事ができるのだ。
 沖縄の人も「こっちの魚より、内地のサンマやサバの方がうまいもんな~」という始末だし、山陸部の人間も「川魚よりは海の魚のほうがウマいべ~」と思っている以上、需要と供給の関係上、ますます食文化は画一的になる事だろう。
 ただその一方で、その土地の獲れたての地の魚を食べるというのは鮮度もいいし、やはり美味いものなのである。また、郷土料理としてその土地の故郷の味となり、それに不可欠な食材として現地の魚介類も必要になってくる。
 流通の最たるスーパーという店舗においても並べられている地の魚というのは、やはりその土地で好まれて食べられていると言う事では、今回の調査には逆に都合がよかったのかもしれない。
 さらに深く突っ込んで現地の朝市や漁港のセリなどに行けば、さらにその土地ならではの水揚された魚と魚の料理法に伺えると思う。

 今回の調査ではかなりサンプル数が少なく、人に発表するにはしょうもない内容ではあるが、今後も旅をする上でどんどんサンプルを増やしていき、自分の見聞を深めようと思う。その結果はおりをみて発表できたらいいと思います。
 以上、調査発表を終わります。
 …なんて長ったらしく書いちゃいましたが、内容はともかく各地で見た魚がネタとして面白いと思ってくれれば幸いです。