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Ⅰ:コーストトラック・トランピング編
2008年11月11日~15日

11月11日
Marahau → Watering Cove

マラハウにあるコーストトラックの入り口。10時に出発した。この看板にも予約しないと公園内に入れないと書いてある。

 

タラップから陸の方を見る。黄色いルピナスが満開だった。山に雲がかかりなかなかいい風景。

 

エイベルタスマンに限らず、ニュージーランドの森林には木性シダ植物が多く見られる。肌寒い気候なだけに奇妙な感じがする

 

森のコースからちょっと出て、見晴らしのいい岩の上で記念写真。日差しが気持ち良い。
 

 

この日のキャンプ地、Watering Coveにいったん降り、荷物を置いて再び丘の上に登る。今回はキャンプのみ。それもこじんまりとした使用人数10名以下のキャンプサイトのみ使用した。

 

Te Pukatea Bayによる。タンデムのシーカヤックでやってきたギャル2人が日光浴をしていた。日本ではありえない光景。

 

キャンプサイトに戻って砂浜の上でまったりと過ごす。NZ Flaxの花に変わった鳴き方の鳥がやってきて蜜を吸っていた。後でこの鳥がビールの銘柄にもなっている有名なトゥイ(Tui)だと知る

しばらくは塩生湿地の上にあるタラップを歩いて行く。干満の差が大きいことがこの広大な干潟でわかる。

 

しばらく行くと山の中に。時々森の間から海が見え、多くのお客さんを引き連れたカヤックツアーの人達を見ることができる。

 

Apple Tree Bay。ここにも多くのカヤックツアーのお客さんが休憩してティータイムをしていた。

 

Anchorageに行く前に越える丘の上の展望台。ワンデイのピクニック仕様の人から、僕と同じ本格的トランピングの客まで様々な人がいる。植物相がかなり異なり、蜂蜜で有名なマヌカの灌木が生い茂る。

 

いったん丘を降りてPitt Headを目指す。荷物がなくなったのでかなり体が軽い。それにしても暑い。

 

Pitt Headにて。かなり意気込んで来た割にはあまりいい景色ではなかった…。

 

今回のキャンプサイト。犬だか野生の豚だか知らないが、なんだかションベン臭いテントサイトだったが、景色は上場。近くに沢が流れていてそこでビールを冷やし、夜は砂浜の上でごろ寝をして過ごした。

11月12日
Watering Cove → TongaQuarry

翌日はゆっくり起きて9時頃出発。前日に通った道を通ってアンカレッジを抜ける。

 

途中、Torrent Rを渡るのだが、この上流に淵があるので見に行くことに。

 

入江の沿岸を歩いて行くと、本道とは異なるFalls River Trackが現れる。
寄り道好きとしては気になるし、時間もあるので貴重品だけ持ってこの急な道を登って行くと、20分くらいで最初にあるのがこの滝。この滝でuターンする予定だったが、あまりにも微妙で、この先にも滝があるので結局行くことに。道は険しくなるばかり・・・。

 

干潮なら渡れるがこの時は満潮だったのでTorrent Bayの干潟を突っ切らず、迂回していく。

 

Cleopatra's Pool。
もっと気温が高ければ泳ぎたいところだが、水温がメチャクチャに冷たいので断念…。

40分かけて登るとこのような滝が現れた。小休憩。

 

気づいたら14時をまわっていた。えらい時間がかかってTorrent Bay Village前に到着。

 

先ほどの滝があったFalls Riverに架かる吊橋。意外に揺れる・・・。

 

ゆっくりし過ぎて潮が満ち始めて来ていた…!まだ大丈夫だろうと横断を試みたが、水没は免れなかった・・・。

 

今回のキャンプ地。一人で一個テーブルが使えるなんてラッキー。僕以外には一組しかキャンパーはいなかった。

 

これが一番見ごたえのある滝だった。

 

対岸にネルソンの街があるあたりが見える。

 

16時40分、やっとBark Bayに到着する。通常のパターンではここのハットに泊まる人が多いのだが、僕はこの先まで行く。

 

18時40分、何とかTonga Quarry到着。正面に見えるのが保護区でオットセイと一緒に漕げることで有名なTonga Island。一日一本のビールが美味い!

 

正面に昇る月を観ながら独り月見酒。
重いけど、ワイン持って来て正解。

11月13日
Tonga Quarry → Waiharakeke Bay

この日も朝はかなりゆっくり出発した。これは今日は潮まかせになるからである。
mont-bellのコーヒーフィルターが大活躍した。

 

いきなり長い砂浜を歩く。ここはよくAbel Tasmanの写真でよく見るビーチだ。

 

砂浜から丘にあがり、ちょっと急な山道を歩いて行くことに。

 

この写真だと見えずらいんですが、看板に「sky track」と書いてあるのです!本道から逸れるのだけど、その名前に惹かれてこっちを行くことに…。

 

いよいよこの日のハイライト、Awaroa Inletを歩きます。干潮は16時2分。この時16時36分。まぁボチボチです。

 

NZの海岸でよく見る看板です。oyster catcherやチドリの仲間が営巣しているエリアを示しています。

 

たまにスーパーでも売っているシジミみたいな貝、cockle。潮が残っているところを掘るとワラワラ出てくる。食べようかと思ったが持ち歩くのが嫌なのでリリース。

 

やっと干潟が終わり整備されたコース上に戻る。しかしわかりやすい目印だった。

 
 

早く着いたので海岸に食べられる物を探しに行く。フランス人二人が素潜りで貝を獲っていたが、十分泳がなくても採れた。

 

11月のニュージーランドは日が暮れるのが遅い。もう8時近い時間帯なのにこの明るさ。しかし夜も近い。

昼過ぎに出発。

 

休憩をしていると夫婦つがいでギャーギャー言いながら近づいてきたOyster Catcher。はいはいすいません、卵をむしろ見やすくしてください…。

 

パッと見、西表島かと思ってしまうがよ~く見ると違う…。今見ても不思議な植物相だ。

 

Awaroa Hutという小屋の周りはなんだか村のようになっており、そこをすり抜けて干潟を通ります。

 

地図で見ると小さいんですが、なかなか広大な干潟が広がっています。砂がある所は肉厚の植物があり、さながら砂漠です。

 

いやー、見事に干上がりましたな。あまり地盤は良くなく、フワフワしていたり、ぬかるんでいたり、意外に大変でした。最初はサンダル履いていたけど、終いには裸足でした。

  

この日のキャンプ地、Waiharakeke Bayのキャンプサイトから海を見た図。ちょうど2,3日前に草を刈られたような後だった。

 

Corst Trackの典型的な道。山の尾根の方に行くと植物相がかなり変わるが、海岸線近くはこのような熱帯地方のようなシダとヤシの仲間が多く見られる。道はとにかくきれい。異常なまでに整備されていて物足りなさを感じるほど…。

 

手ぶらで来ちゃったので帽子に貝を入れる。
超大型のGreen lip mussle のみ数個拝借。しかしでか過ぎると良くないらしく、ほとんどの物にピンノ(寄生蟹)が入っていた。

 

さっきのフランス人2人以外は俺だけ。素晴らしいビーチでまた過ごす。結局あの二人にもマッスルをもらい、息が潮臭くなるくらい貝を食べる羽目になった…。

11月14日
Waiharakeke Bay → Mutton Cove

朝食はコーヒーと昨夜の残りの冷飯と一緒に煮たラーメン。こっちのインスタントラーメンは美味いとも不味いとも言えない。多くの邦人が韓国のインスタントラーメンを食べていた(安くて味もソコソコ)。

 

最初、リスサルの足跡かと思ったけど、猿なんている訳ない。後にポッサムという有袋類だと知る。そしてこいつが酷い目にあっているということも…。

 

Gort Bayの巨木の前で休憩。とにかくでかかったな、この木は。種類は今となってはわからない。

 

Totaranuiは車で来ることができる。だからCorst Trackの中間地点だとも言える。
それにしてもここの並木のヤドリギは半端ないな。

 

小さい入り江を廻り込むように進むと、気持ち良い草原に出た。休憩しようと思ったが、人が結構来るので止めた。

 

Anapai Bayに出ると天気もやたら良くなり、気温も上昇。さすがに3日間同じシャツを着ていたので沢の水で洗い、日光浴を兼ねて乾かすことに。気持ち良い。

 

花崗岩の砂にこの日差し、これは泳ぐしかない!!
そう思って全裸になって飛び込みました。いやー、冷たかったけどサッパリした!!

 

いや、もはや反則ですね。
この日差し、心地よい風、白い砂、青い海、人工物の無い海岸線。

 

透明度はやはりかなり上がっているようです。このあたりは保護区でもないのでぜひカヤックでやってきて潜ってみたいな~。

 

時間もまだまだあるので、先にSeparation Pointに行ってしまおうと貴重品だけ持って岬の先端に向かう。
ここにはオットセイのコロニーがあると聞いていたので上手くいけば見れると思ったのだ。

 

しかしいたのは2頭だけ…。泳いでいるのが一頭見れたけど、がっかり…。

 

今夜も食卓に彩りを…と思ってタイドプールを見渡すといろいろ発見。しかしウニは不味かったのでヤメルことにした。

 

そして沢には見覚えのある草が生えているじゃあ~りませんか!
外来種にうるさいはずのNZ、その国立公園内にクレソンが生えているというのも、なんだかな~。

  

クレソンとマッスルのガーリック炒め。
ウマすぎた。
ビール消滅。

 

満足の黄昏時。

またまた砂浜の上を歩いて行く。エイベルタスマンぽくって良いけどね

 

潮が満ちているので海岸線もわずかしかない。時間帯を間違えると波をもろにかぶることになりそうだ。

 

Totaranuiに抜ける前に見た海岸線。この辺まで来るとカヤックツアーの客を見ることも少なくなってきた。そして透明度も上がってきている気がする。

 

Totaranuiのレンジャーステーション。Abel Tasmanの中にある数少ないオートキャンプができるキャンプサイトがある。

 

本道から逸れてまた寄り道。ちょっと気になった丘の頂上まで登る。ん、良い景色だ。

 

ビーチで止まっていると、必ずサンドフライと共に、こいつが近づいてくる。餌でもくれると思っているのだろうか?保護区じゃなかったら、俺がお前を餌にしてやる・・・と、思ってはいません。

 

Abel Tasmanでこのあたりが一番きれいで面白い地形をしていたと思います。もう、保護区じゃなかったら、その辺のビーチでキャンプしたいってくらい、素晴らしいところがあります。

 

コース自体はそれでもものすごく整備が行きとどいています。
明らかにここも2,3日前に草刈がされています。ちょっとやり過ぎ?というくらい。

 

最後のキャンプ地、Mutton Cove。若干海からの風が強く、風裏にテントを立てました。焚き火台もあって今夜はキャンプファイヤーですか。

 

岬の帰り道。
いや、きれいな場所ですね。

 

どっひゃーっ!
良型のマッスルがいっぱい!よりどりみどりです!これがNZの普通だと思っていたけど、こんなに簡単に取れたのはここだけでした。

 

最後の晩なのでいつもは一本だったビールがこの日は2本飲める!(その代りワインはもうありませんでしたが…)沢の水でキンキンに冷やします。
しかしNZの場合、海の水の方がひょっとしたら冷たいかもしれないと、冷やす場所をいちいち考えていたのも事実。結局ビジュアル的にこっちにしましたw

 

ブツブツ言いつつ、新芽の部分だけ拝借しました。
いやー、この地で海の幸、山の幸を両方頂けるとは思いませんでした!

 

そして王道、浜焼。
開いたところで殻を外し、醤油をたらした。焚き火ができるからこその食べ方。
貝柱が歯に挟まるのはしょうがないっ!

 

夜遅くにカップルが来たけど、基本僕一人のキャンプでした。
最終日にして焚き火臭くなってしまったかな。でもまぁいいや。

11月15日
Mutton cove → Wainui bay

最終日、この日はバスの時間があったのでいつもより早めに起きて出発の準備をした

 

急斜面を登りながら海を眺めると、な、なんとヨットの近くに大型の海洋哺乳類が泳いでいる!
禁断のデジタルズームでも流石に捉えることはできなかったかな~。
イルカなのか、小型のクジラなのか、距離があり過ぎてわからなかった。

 

昨日とうって変わってあいにくの天気になった。北を向いているWhariwharangi Bayにはもろに北風を受けて時化。ビーチはきついので木陰に入って休憩する。

 

最後のハットを越えてからは山を一つ登り、Gibbs Hillに向かうland Trackの入り口を越えれば、あとは谷を見ながらゆっくりと下って行くだけである。見晴らしがやたらいい。

 

11時ちょうど、エイベルタスマン国立公園コーストトラック北の出入り口に到着した。
なんだかMarahauみたいに建物がある訳でもなく、なんとなく本当に終わりなのかどうか微妙な感じだったが、無事ゴールできた。
ここからmarahauまでバスがあり帰ることができる。

8時30分出発。
毎回のことだが、良いキャンプサイトは旅立つ瞬間が名残惜しい。

 

MANUKAの灌木の中を通り抜けるコースもこのトラックの定番である。
基本的にニュージーランドの植物相は単純なので正直、地形的な変化がないとマンネリしてくるのは否めない。

 

Whariwharangi Hat。通常で言えば最後の泊まるハットである。この日も多くの宿泊者が僕とは逆のルートを歩くために出発の準備をしている所だった。

 

Wainui Bayを遮るように伸びる砂州。先端近くから対岸に渡ることも干潮時は可能なようだ。
その先はもうゴールドベイが近い。

■エイベル・タスマン:コーストトラック総括

 観光大国にしてアウトドアの盛んなニュージーランドにおいて、最もその入園客が多いと言われるエイベルタスマン国立公園。その代名詞とも言えるコーストトラックを歩いてみて思ったのは、一番にその管理の徹底である
 宿泊場所の徹底、そしてそのキャンプサイト、ハットでの人数制限とオンシーズン中での予約の徹底。これを行うことによって自然の中で他の人間に出会う可能性を極力減らしている。本当のシーズンを前に歩いたために僕の場合、ちょっとした日帰りのハイキング客などを除いてはほとんど人に会うことはなかった。それがより自然の中に入って遊んでいる気にさせてくれる。

 ニュージーランドにあるトランピングコースは①グレートウォーク、②トレイル、③ルートと順に険しくなっていくのだが、そのうちの①グレートウォークは老若男女が楽しめるようにかなり整備された道を持っていて、そのくせものすごい大自然の中を歩くことができる。国内に11カ所ある(そのうちの一つはファンガヌイ国立公園内にあるファンガヌイリバージャーニー、つまり川下りである!これもやりたかった~)。
 もちろんこのエイベルタスマンのコースト・トラックもその一つであるのだが、その道の整備の仕方には目を見張るものがある。
 大人が3人横一列になっても歩くことができるほどの幅で、雨水が道に溢れないように山の斜面を流れるように側溝が作ってあったり、砂利が敷いてあったりして、道に迷えるなら迷ってみろぐらいの整備が施されている。
 また、トラックを歩いていてもDOCのレンジャーを見かけることも多々あり、安心して歩くことができる。

 そしてエイベルタスマン国立公園が他のグレートウォークと違う大きな点はウォータータクシーがあることである。
 今回僕は使用しなかったが、この海上タクシーのおかげですべての工程を歩かなくても、自分の好きなところから歩きはじめて、好きなところから帰ることができる。まさに短期の休みしかない日本人にはピッタリのサービスなのだが、このおかげで悪天候時や万が一の事態にもレスキューが迅速に行うことができる。そしてコースのど真ん中にも高級ビレッジが存在することもできるのだろう。

 そういうことが色々あり、多くの観光客が利用しやすいようになっており、それに合わせて多くのアクティビティーを行うカンパニーが存在するのだろう(シーカヤックがここではその代表)。それがニュージーランド国内でもっとも多くの観光客が訪れる国立公園の理由だと思う。

 僕個人の考え方だと、あまりにも整備されすぎて物足りなさも感じるのだが…。道もきれいすぎるし、何より海上タクシーというある意味反則行為がまかり通っているというのが気に入らない。ここでシーカヤックで全工程を漕ぐのではなく歩いて全工程を旅しようと思ったのもそこに理由がある。

 要は、観光地なんですね。ニュージーランドという国はさらにワイルドな事をしたい人にはそれ相応のフィールドが控えているというのは後々知っていくのですが、コーストトラックを歩き終わったばかりの頃はそれまでのオークランドの都会生活もあり、5日間のバックパッキングというあまりできない旅をしたことで、それなりに満足しつつも、もうちょっとガッツリとしたタフなことがしたいなと慾も出てきたのでした…。
 それでも最初の頃は荷物の重さもあり結構大変で、とくに2日目の滝を見に行った時は無駄に歩いたのでこの日だけで20㎞以上歩いたと思います…。かなり疲れました。しかしカヤックと一緒で、3日目くらいでピークになり、その後は快調に歩くことができて旅の終わりはかなり寂しかったです。
 

■装備

バックパック(80リットル・Aucklandで購入)、三脚、カメラ(Nikon:D60・オリンパス:μ1030SW)、MSR、コッヘル、水用ペットボトル、シグボトル1L、食糧(米4k、ラーメン5食、インスタントスープ8袋、インスタント味噌汁12食、パスタ、トマトソース、ニンニク)、行動食(チョコレートバー)、調味料セット、ワイン、ビール5缶、コーヒー豆(ロバートハリスン)、テント、シュラフ、シュラフカバー、マット、シャツ2枚、フリース、パンツ3枚、ソックス2足、地図2枚、チャートケース、本2冊、貴重品、コンタクトレンズ、サングラス、KAVEのハット、キャンプサイト利用証明書・・・などなど、計20kgほど